「私と山登り」

こんにちは今日は私の趣味の山登りについて『私と山登り』というエッセイにまとめてみました。

これは私が所属する「島田しらびそ山の会」が毎年発行する、その年の山行記録をまとめた会報に掲載するものをブログでUPさせていただきました。

私が山登りに対して感じていることを書きましたのでご覧ください。

 

 

                              『私と山登り』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・記:下田 隆

剱岳山頂は一面雨雲に覆われ、岩の殿堂と呼ばれるその姿を易々とは拝ませてはくれなかった。それでも一瞬雲の晴れ間に切れ立った神々しい岩稜が顔をのぞかせる。あいにくの天候だが落胆することは無く、どちらかと言えば不思議な高揚感と達成感が体に充満している。今年8月の山行のことだ。

 

白馬岳山頂から眺める北アルプスの後立山連邦や槍・穂高連邦の絶景。一歩一歩自分の足でここまで登ってきた者だけが味わえる大自然の極上世界。この瞬間を堪能する為に辛く苦しい登りもひたすら目の前の岩道と無心で向き合った。

 

山登りを始めて3年半が経ち、かつては想像すらできなかった世界に足を踏み込み、人生の豊かな一場面として心に刻む自分がいる。

 

私が山登りを始めたきっかけは女房の誕生日を家族で祝う為、ハイキングがてらに登った川口湖畔の御坂山だった。

 

ブナやミズナラといった広葉樹の新芽が息吹き、その木々の隙間を柔らかな日差しが体に降り注ぐ。吹く風は爽やかで生まれたての空気を運び、疲れた体を活性させる。時間はゆっくりと流れ今この瞬間だけに心を巡らせ無心に自然と向き合っている。一瞬で山の魅力に引き込まれてしまった。

やまのぼり 1

それまでは山登りと言ったら山男達が重装備で何日も掛け、高く危険な場所に行く道楽のように思っていた。しかし今こんなにも身近に自然の懐に抱かれ神を感じられるような“愉しみ”に出会えたことに大いなる感謝と喜びを感じている。

 

山登りには色々な楽しみ方がある。高山の山頂をひたすら目指すトップハンター、山から山へと尾根道を歩く縦走登山。高山植物や野鳥の声を楽しみながらのんびり登るハイキングなど等、その人の体力や嗜好にあわせ様々な選択が出来る。

 

私の場合どちらかと言うと、日々の仕事のプレッシャーを癒しリフレッシュするために登ることが多い。同時に奥深い山々や樹木が発する生命エネルギーのような神秘的なパワーを体に浴びることによる健康増進と、気力、体力の充実を図ることを目的としている。

 

そうした効能とは別に、山登りは人生の縮図のような側面を持ち合わせているようにも思える。

 

『山の麓に立つ、見上げても頂上は見えない。周りの山々はそびえ立ち自分に見えるものは目の前の「一本の道」だけだ。登るにつれ、その道はだんだん険しくなり、苦しくなる。心が折れ何度もくじけそうになる。それでもただひたすら目の前の道を一歩一歩登る。

気がつけば視界は広がり、先ほどまで居た麓が見下ろせる。あんなに高く見えた廻りの山々はいつの間にか目線の高さに肩を並べている。見上げれば山頂らしき場所が覗える。しかし簡単には辿りつけない。山頂と思えた場所はさらにその奥があり幾度となく打ちのめされる。

すでに視界を遮るものは何も無く、遥か遠くの山々や人里までもが見渡せる。自分の居る場所がどこかの全体像も解ってくる。そして「その場所」は突然目の前に現れ私を歓迎してくれる。』

やまのぼり 2

山登りは人生の道程に似ている。心に決めた道を一歩ずつ進み成長していく。途中幾度と無く挫けそうになるが、その都度前を向き上を向いて歩みを進める。若く未熟な頃には見えなかった景色は努力と経験を積み、年齢を重ねるにしたがって一段も二段も上から眺めることが出来るようになる。考える視野が広がり全ての繋がりが理解できるようになる。何事にもその「一本の道」を貫き登りつめることで、ある「極み」に到達する。それは、山の頂に似た世界である。

 

私自身まだまだ人生の中腹に居る。迷い挫けそうになりながら進んでいる。歩みを止めそうになることもある。しかしどんなに困難であろうと私に与えられた使命と、成し遂げられた時の喜びが背中を押す。これと決めた「一本の道」、自分のやっている事は必ず成功すると信じ、常に前向きに一歩一歩上を向いて進んでいく。いつの日か到達することが出来るだろう「私の頂」を目指して。

 

一人で山に登ることが多い私にとって、山登りとは自分自身と向き合い、日々を反省し、生き様を考え、次なる気力や勇気を与えてもらえる神聖な儀式の様なものかもしれない。

カテゴリー: ブログ | コメントをどうぞ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>